スイスアルプス登山&ハイキング
(ツェルマットな日々)
【目次】 1. プロローグ 2. マッターホルンへのアプローチ 3. 計画と実際の行程 4. 地図 5. REPORT 1日目 成田からチューリッヒ観光 2日目 チューリッヒからツェルマットへ 3日目 トリフトハイキング 4日目 ゴルナーグラート観光&リッフェルゼー〜リッフェルアルプのハイキング 5日目 ブライトホルン登山 6日目 ポリュックス登山 7日目 三湖めぐりとフルーエヒュッテハイキング 8日目 リッフェルホルンの岩トレ 9日目 シュヴァルツゼー〜ツムット〜ツェルマットハイク 10日目 オーバーロートホルン登山 11日目 ヘルンリ小屋までのハイクアップ 12日目 マッターホルン登頂からツェルマットまでの長〜〜〜い一日 13日目 その後のエピソードと山岳博物館見学 14日目 ツェルマット〜日本へ 15日目 〃 6. 装備関係 7. 写真集 8. 旅を終えて〜総括〜 ・ガイド登山についてのあれこれ、その他雑感 ・補足:ヨーロッパアルプス流の登山概念 ・最後に |
【プロローグ】 6年前にモンブランに行った時にすっかり海外登山の素晴らしさに目覚めた自分は、翌年ネパールに行き自分の目でエベレストを眺めてきた。さて次に行くのはどこかというと絶対にスイスの山に行こうと想っていた。自分の小さい頃にアニメの「アルプスの少女ハイジ」がテレビで生放送されていて、その後もう少し大きくなってからは文庫本の原作まで何度か読むほど好きだった。モンブランはヨーロッパアルプスだけどフランスなので、次こそいわゆるスイスの山々に行きたかった。どの山に登りたいかというと、マッターホルンはもちろん登ってみたいけど、もともと雪山が好きな自分はモンテローザ(スイス最高峰4634m)やドム(山の全てがスイス国内にあるという意味での最高峰4545m)や、他にも一杯4000m峰があるスイスの山々はとてもそそられるものがあった。 マッターホルンは登ったことのある知人達の話やインターネットの情報からみても、とても天候に大きく左右される山で、大変登れる時期が限られている。最近はライブカメラのお陰で、日本からでも毎日マッターホルンの様子を観察することができる。一般ルートのヘルンリ稜は左側に見えている東壁側の一部を登ることになるので、その大部分が黒く見えないとルートはクローズするという。(白が目立つ=雪が多いと登山はできない) よって、滞在期間が1週間だけでは4000m以上の高度では下界の雨は簡単に雪になってしまうので、ひと降りするとルートの2、3日のクローズは当然。少し多く降ったら1週間のクローズも当たり前ということだ。そういう意味では2週間の連続休暇が取れる今年こそが狙い目だとことだ。(昨年にいたっては、7月、8月に登れた日はごく僅かだったという話も聞いていた) しかしながら、去年の秋から3月半ばまで一応持病のために運動を自粛していた自分は、完全に体力低下。さらに、昨年夏に沢登りで痛めた左上腕がいまだに少し痛くて、クライミングジムで練習するのも憚れる痛さがある。しかし、そもそも今年が勤続ウン周年記念なので本格的に山に復帰したい一心で持病を治した経緯もあるので、なんとしてでもこの休暇を有意義に使いたいという気持ちが強かった。しかし、語学力がない自分では海外旅行の一人旅はやったことがないので、とても恐くて恐くて・・・・・(国内ならば、どこでも平気なんですけど) ヨーロッパに2週間も行くとなると誰も付き合ってくれる人もいないだろうし、マッターホルン狙いの登山ツアーもあることはあるけど、せいぜい9日間。 そんななかで、友人のS夫妻は6年連続ヨーロッパにガイド登山に行かれており、個人旅行のノウハウにたけており、情報交換を時折していたのですが、今年はご友人のN夫妻がヨーロッパ登山に初デビューということで2カップルでツェルマットとシャモニーに1週間ずつ滞在しならが山を登るという。S夫妻はヴァイスホルンとグランドジョラスなどを目標としており、N夫妻はマッターホルンやモンブランなどを狙うという。自分は誰か一緒に行く人がいたらいいなあと思っていたので、時期的にもお盆過ぎに行くというので、ほぼ自分の予定と同じ頃ぐらい。自分はツェルマットに絞って滞在したいので完全に行動を共にするのは無理のようだ。出発の日付も微妙に違いそうだ。それにしてもガイドの手配などを英語でしないと考えるだけで憂鬱な気分で、何かあった時のことを考えるとやっぱり無理かな・・・・と思っていた。(確かにツェルマットのガイド組合のアルパインセンターでは、ガイド手配は全て日本からでも英文メールで行えるけれども、実際は天候の問題などで臨機応変に対応をする必要はあるだろうから、英語での交渉力に著しい不安がある自分では二の足を踏んでしまう気持ちだった) ところが、そんな不安な自分にS夫妻は最高にぴったりの形を紹介してくれた。それは、ツェルマットに拠点がある日本人がやっている「Active Mountain」という旅行エージェントだった。普通のスイスのパッケージツアーではハイキングの時にいわゆるハイキングガイドさんがつくことが多いが、この会社はそのハイキングガイドさんやスキーツアーガイドさんのの仕事や色んな旅行会社の現地ヘルプデスクみたいなことをしている会社といえばよいだろうか。(表面的にはあまり名前を出してはまずいよう?で、それぞれの旅行会社の添乗員みたいなイメージをとっているようだ。) そのほかにも、海外遠征や海外取材関係の手配などもしているという。もちろん自前のツアーも設定されている。ホームページを見るとなかなかよさそうだ。これならば、困った時には頼れるし、社長さんはチョモランマ登頂をはじめとした遠征経験も豊富。他のメンバーの方々も登山やスキーに堪能な方ばかりみたいなので、山に関しては有効なアドバイスを聞けるだろうと思うと自分としては少し乗り気になってきた。それは、3月のことだったろうか。 そうはいいつつ、3月はスキーシーズン終盤で滑りを楽しむ最後のチャンス。しばらくは、やっと体調が戻った喜び一杯で大好きな山スキーができることで嬉しくて嬉しくて・・・・。(今にして思うとアイゼンを使ったちゃんとしたアルパイン系のトレーニングをしておくべきだったですが。苦笑 ) 本当に行こうかなと本腰を入れて考え始めたのがスキーシーズンが終わる頃の5月下旬。やっと「Active Mountain」社とメールでやり取りを始めて、6月下旬頃に正式に申し込み。全てメールでやり取りしたので、とてもラクだった。海外にお金を送金などしたことなかったのが、唯一のドキドキ?もんでしたが、郵便局から簡単にできました。 そんな訳で、山に登ること以前に一人で海外旅行をすることの不安の方が大きいという情けない自分でしたが、山というといつも渋い顔の親も今回は友人や旅行会社もしっかりしているからということで、一応表面では反対せずに送り出してくれてほっとした思いだった。(ネパールの6000m峰に登りたいと言った時のような悲壮な家族騒動にならずに済んでよかった〜) |