ツェルマットな日々 その7日目



                          三湖めぐりとフルーエヒュッテハイキング



                                                                           


【8月26日(金)】             
                                                


二日間、白き山々を登ったので、やっとスイスの山登りに来ている実感で一息。それで、この日はオフって感じで、のんびりペースで昼からハイキングに出かけた。何と言っても、アプローチがほとんどないので、極楽極楽♪♪自分は日本だと奥多摩に行くのでさえ最低2時間程度はかかるので、あっというまにスネガに到着というのはとっても嬉しい。今日はどこを歩くかのか細かくは考えていなかったけど、とりあえず湖を見ようと思って一番気楽に登れるスネガの展望台に上がったのでした。(地下ケーブルでたったの3分)


スネガにはレストランがあって、たくさんの人が昼食中。マッターホルンも正面に見えている。眼下のライゼーに行くには坂を降りるが、大量な動物の落し物が至る所に散在しているので、極めて注意深く歩く必要がある。スネガの記憶はマッターホルンよりもそちらの落し物の印象が強い場所だった(苦笑) ライゼーは想像よりも遥かに小さくて、水溜りぐらいの池の大きさだった。ベンチに座って本日の予定を考える。地図とガイドブックでグリンジゼー、グリュンゼーの三湖めぐりを経てリッフェルアルプに行き、最後は登山電車で下山の予定とした。あまり高度差が無い道のはずで、本日はジョギングシューズなのでちょうど相応しい道だろう。


グリンジゼーまでは、緩やかな道だ。空は蒼いし、爽やかにあたり一面の展望は絵に見るような素敵なハイキングだ。お花はさすがにあまりないが、それでもある程度のお花(アザミ、ナデシコ、タンポポのようなもの、紫のお花やピンクのお花など)はあるので結構楽しい。グリンジゼーの細長い湖の端の一角に到着。こちらは、ライゼーに比べるとひっそりとした感じで好ましい。また上の山からダイナミックに滝が流れ落ちている様子が見える。


ここで一旦車道に出て、左に歩き出したのだが、標識を1つ見落として大きな失敗。道はどんどん登りになり、あれあれ?しかし、前をハイキングの中年のご夫妻が歩いているし、まあちょっと行ってみよう・・・と思いつつなんとなく歩いていった。右にとても大きな氷河が見えている。この景色に魅かれたせいもあって、どんどん歩いていくと、やっぱりこれはフルーエヒュッテへの車道と判明。(車道を出て右が正解)




ライゼー ライゼーとスネガ スネガからのハイキング道
グリンジゼー

                                      ★お花の名前が不明なので、わかる方がいらっしゃったら、教えてくださいませ。



乾燥した車道は結構暑くて、早く楽しい所を歩きたいと思っていると、ようやく道標があり。フルーエヒュッテは左の道だが、右から多くの人が景色のよさそうな所を下ってくるのが見えた。そちらを経由しても行けそうなので、さっそく車道から右の土手のような所に上がってみる。これが、素敵な氷河を見下ろすような道だった。右は氷河へ鋭く落ちてる・・・。ちょうどフルーエヒュッテで昼食を済ませた人達が降りてくる時間帯で、一杯家族連れが歩いている。ハローとか挨拶しながら歩くのは世界共通か。なかにはコンニチワなんて言ってくれる人もいた。やっぱりサングラスをしていても日本人ってわかるのかあ・・・。


あまりに気分が良いのであっというまにフルーエヒュッテよりもかなり先の方まで歩いいる。この道が終わるところまで歩いて行きたいな・・・って思いながら歩いているんだけど、なかなか氷河に降りる所?までの最終地点にはたどり着けない。氷河の景色はとても広大な感じだ。それにだんだん夕方の陽射しになってきて、歩いているのは私だけ?さすがに、時間も時間なので、戻ることにした。


来た道を戻って行くと、フルーエヒュッテへ降りる道があって小屋の方に寄る道をとる。雪が溶けて水溜りみたいな感じでぬかるんでいる所もあった。小屋でゆっくりするほどの時間は無いので、チラと素通り。ここでのんびり過ごすのも良いだろうなあ・・・・。この界隈だとステリゼーが眼下にあって綺麗な湖みたいだけど、時間も迫っているので今回はパス。のどかな風景を下って行くと、よっちゃんから携帯に電話。彼らは昨日はサース・フェーのアラリンホルンにガイドレスで登ってから、その日のうちにヴァイスミースの山小屋に上のロープウエイがやっていない標高差700m位を登って、小屋で1泊。今日は小屋からヴァイスミースに登ってきたという。去年S夫妻が登った時にヴァイスミースを案内したガイドさんをアクティブマウンテンで手配してもらったのだという。新雪が積もって、若干ラッセルだったので去年よりは時間がややかかったという。いいなあ〜〜。


まあ、こういうのんびりハイキングも是非したかったので、それはそれで良いのだけど、こうたびたび雪が降るようでは本当にマッターホルンはどうなのかなあ?そんなことを考えながら歩いていると車道に出た。左の方に歩いて行く。途中で氷河から出た沢を横切るが、本当にコンクリートを流し込んだような白っぽいグレーな水だ。道の道標を見逃さないようにしているとグリュンゼーの標識を発見。左の草原の中に入っていく。少しだけ登ると、とても気持ちのよいグリュンゼーに到着。


ここが、3つの湖の中ではとても静かで感じがよかった。赤いベンチが置かれていて、のんびりと行動食を食べる。見ていると家族連れが水着になって、湖で泳ぎ始めた。湖の周りは砂地状になっていてとても綺麗な感じだった。
この辺りからは、オーバーガーベルホルンとツィナーロートホルンがとても綺麗に見えている。いつまでも居たい気分だったが、重い腰をあげるようにゆっくり再び車道に出て下る。小屋があって、お花畑があって綺麗だ。




フィンデルン氷河と道(かなりぎりぎりの所に道があったりして・・・)   振り返るとこんな風景
フルーエヒュッテは料理が美味しい小屋で有名らしい 小川が流れるのどかな風景
ワタスゲの風景(光に反射して綺麗だった)
   グリュンゼー 泳ぐ家族
このお花畑が綺麗だった。




この小屋の下で困った事態が発生。リッフェルアルプには左の方角に降りるはずなのだが、それらしき道は?大きな看板や標識があるのだけど、この左の道は?な感じだった。小屋の上にもう一つ分岐点があったので、そこまで登り返してみたものの、うーんやっぱり、微妙に違うようでやっぱり小屋の下が分岐だと思う。この時点で確実に間違いなく右に降りる道はツェルマットに降りる標識だった。まあ2時間位で降りれるかな?


結局、歩いてツェルマットに降りるのも悪くないか・・・って思って歩き出す。どんどん面白いように高度が落ちてきて、樹林帯の中の道で九十九折のきちんと整備された道だった。谷に下りると小さな橋を渡る。あとは、マッターホルンを正面に見ながら歩いて行くと、どうやらスネガの下のフィンデルンの近くらしい。細い車道をトラックがぎりぎり走ってきた。農家が点在するのどかな風景で、とってもスイスらしい感じだ。この道を歩けて正解な気分になった。羊さんがのんびり草を食む風景っていいなあ・・・・。ここを過ぎると、谷あいの樹林帯の道に入って、とても綺麗に整備された広い道なのでどんどん下る。


結局軽い3時間程度のハイキングに出かけたつもりが、それなりのハイキングになって18時頃にツェルマットに降りてきた。夜は21時ぐらいまで明るいので、とってもありがたい。町はお祭りで、私のホテルの前が特に大音響で大変な騒ぎだ。参った〜〜〜。部屋の中に居てもうるさくてしようがない。


アクティブマウンテンに明日以降の山の相談に行く。ヘルムートさんから言われたアルプフーベルのことを聞くが、1泊2日で行く山で、結構きつそう。それに月曜日に登るというのも、火曜日あたりにマッターホルンがもしオープンになったら、連チャンで登ることになるので、そんなに体力がない自分ではちょっとまずそう。(ヘルムートは土日は既に予約が入っているので月曜日まで無理。)比較的軽めのヴァイスミースに行きたいと言うと、2つあるロープウエイのうち上の方が点検か何かでやっていないので、いつもより標高差700mを多く登らなければならない。そのため通常日帰りできるのが、前泊の小屋泊まりで1泊2日になるという。さらに、明日の土曜日の夜は天気が悪くなりそうで、雪が降りそうなので土曜日の入山はやめた方が良いという。日曜日の小屋入りで月曜日の登山かあ・・・・ ロープウエイさえやっていれば、楽勝日帰りなのに・・・。小屋代はガイド分も払うから結構な出費で頭が痛い。


山の上では昨日の夜も雪が降ったというし、土曜日の夜も雪が降る予定というのならば、なんか
マッターホルンの来週半ば予定の再オープンの話もなんだか、遠い夢物語のような気がしてきた。 それに、実は最大の問題なのだが、女性特有の最大の問題が頭に重くのしかかってきた・・・・・・。予定通りの最初の1週間でマッターホルンに登れれば全く問題がなかったのだが、来週になると、いつ駄目になるかわからない・・・・自分は絶対に山で生理は駄目なのだ(きっぱり)。 この手の話は女性の中でも、ものすごく個人差が大きいので全然大丈夫という人もいるが。かの有名なエベレストに女性で世界初に登った田部井淳子さんはエベレスト登頂日に生理だったそうだが・・・・・。自分の場合はとにかくトイレに頻繁に行く必要があるので、最低でも10時間位はトイレに行けないマッターホルンは事実上無理なのでした。


正直な話、あちこち動くのも面倒な気分になってきて、半分ヤケ気分!!! 今回は、一応4000mの山に幾つか(大体3つ以上ぐらい)登ることを目的としていて、できればマッターホルンにも登れれば超ラッキーぐらいのつもりでいたのだけど、簡単に登れると思っていた山も大雪だのロープウエイがやっていないだのとすんなり登れない。やっと二つ登っただけというのは寂しい・・・・・ こんな調子では、このまま登れなくなってしまうのかなあ(しょぼ〜〜ん・・・・・・) 


せっかくスイスまできて日数もまだたくさんあるので、
せめてもの今年駄目でも次に来た時につながることを体験したいなと思うようになった。次につながること・・・というと、現地のガイドが行う懸垂みたいな下りで多様するザイルで降ろしてくれるやり方を、この際体験しておこうかと思った。いまの天候状況では最低でもマッターホルンは火曜日よりも早く登れることはないようだから、仮に懸念の筋肉痛になったとしても、さすがに治っているだろう(笑)


ということで、リッフェホルンの岩登りのトレーニングに行くことに決めた。さっそく田村さんがガイドに予約を取るためにあちこち電話を入れるが、明日は土曜日で、時間も19時頃と結構遅いのでなかなかガイドが見つからない。3箇所目ぐらい?でようやく明日予定のないガイドが見つかった。ヤレヤレ・・・・・


ガイドの名前は、Georgeで、ドイツ語読みするとゲオルクで、英語ができる人ならばジョージと呼べばよいという。地元のガイドでなくて、オーストリアから来ているガイドだという。割と若い20代かなあ?って田村さんは言っていたが、実際に彼にガイドを頼むのは初めてだったかもしれない。明朝は駅に田村さんが顔合わせに来てくださるという。明日は久しぶりのロッククライミングで、山に登るのではないけど、これはこれで楽しみだなあ♪ 


ホテルに戻って休もうと思ったものの、お祭り騒ぎが大音響でロックなどが流れていて、とても眠れたものではない。夜中の1時ぐらいまで大騒ぎだった。




フィンデルンの集落とオーバーガーベルホルン 羊さんの風景 この風景を正面に見ての下りのハイキング
アルプスの少女ハイジにあったような水のみ場 ネズミ返しの家
気持ちの良い樹林の道 鉄橋とフィンデルバッハの滝