ツェルマットな日々 その6日目
ポリュックス(POLLUX 4092M)登山の一日
【8月25日(木)】 今日は、いよいよマッターホルンのテスト山行のポリュックス登山(4092m)の日だ。既にこの記録の中に「マッターホルンのテスト山行」という表現が何回か出てきている。何なんだろうと思っていらっしゃる方のために説明するとします。2002年(たぶん)からマッターホルンをガイド登山で登りたい人に事前課題を課して、それに合格した者のみがマッターホルンに登ることができる形の仕組みにしたことだ。
まずはA〜Dのうちから1つないし2つを選択して、このテストに合格しないとならない。マッターホルンの混雑緩和と危険防止のために始まったようなものらしい。山らしい山に全く登ったことのない人とか歩く速度が遅すぎるとか高山病などを起こしてしまう人以外は大体合格するような感じのようだ。インターネットで調べた限りでは1度不合格でも、別のにトライして合格をもらっている人もいるので、まあ大丈夫だろうとは思うけど・・・・・ だけど、やっぱり正直なところ、ちょこっと心配。 アクティブマウンテンの当初の既製のツアーではAの翌日にBをこなして、その次にマッターホルンに登る形になっていた。自分の場合は既に書いているように左上腕を痛めていて若干の痛みが残っているし、下手な岩トレを直前にすると腕がパンプしてしまって、肝心のマッターホルンの時に腕が張ってしまって登れないようではまずいので、事情を説明してBを外してもらっていた。(クライミングジムで練習すると、超下手なので、腕が2、3日はパンプして使い物にならなくなってしまうのだ トホホ・・・) 本当は体力・持久力を見る意味ではAの課題がよく、岩のトレーニングとしてはBがよい。ただし、Aには多少の岩の要素も入っているので、まあBはパスでも良いということにしてもらった。(逆にBだけだと、アクティブマウンテンでは体力チェックができないので、それは困るなと言っていた。ツェルマットのガイド組合で直接申し込む場合は、1つだけ選択して合格すれば良い) ************************************* 少々前置きが長くなったが、当日はゴンドラ乗り場に7:00に集合。田村代表も顔合わせに来てくれるというので、安心だ。ホテルの朝食は朝7:30からで間に合わないので、ホテルの部屋で自炊の食事をしてから出発だ。約束の5分前に到着したけど、あれどこどこ? 既にかなりの人数が乗り場の前でゴンドラの開始時刻を待って列になっていた。昨日のブライトホルンの行程時間の短さとは違って、ポリュックスまでは歩行時間がある程度長いので早出が鉄則だ。この時間だとポリュックスとカストールに行く人は大体この時間に集合している感じだった。田村さんを見つけて、ヘルムートさんを引き合わせてくれた。ガイドのヘルムートさんは30代半ば位で色白で優しそうな感じの人だった。 8人乗りのゴンドラに乗ったら、たまたま日本人のお二人に乗り合わせた。お話を伺ってみると、同じポリュックスにガイド登山で登る方だという。そういえば、昨日のブライトホルンの時に一人の方をお見かけしていたことを思い出した。お二人とも62才で、なんと100キロマラソンの常連さんだという!!そして、山はそのためのトレーニングのもので、せっかくだから体力を生かしてモンブランとマッターホルンを目指して11日間で来たという。AさんもBさんも見るからにランナー体型で無駄な肉が全く無く、荷物も超軽量化。ヤッケは既に着ているし、ハーネスもしているし、軽量アイゼンなので荷物は3キロもなさそうだ。Aさんの荷物は特に超小型で、いかにもトレールランニングというスタイルそのものだった。Bさんは明るい方で特に話が弾んで、ともすれば緊張しがちな気分がぐっと気楽になった。 この日のクラインマッターホルンまでのロープウエイは昨日と違ってあまり混んでいなくて、この時間は登山客が中心だ。Aさん、Bさんとずっと一緒に上までと思ったら、自分のガイドが3番目に乗るロープウエイで1台前に乗れることができたので先に行くことになった。1番上のロープウエイを待っている間に、ヘルムートさんからハーネスを着ける様に指示があった。「あの〜、ロープウエイを降りてからトイレに行きたいんだけど・・・」となんとか英語で話すと、トイレタイムはちゃんと取るから先に着けてねということだ。ハーネスを着けても後ろの止め具を外せるのでトイレは出来るし、そうやってすることもあるけど。。。。 実は女性の人ならわかると思うけど、ハーネスをしたままトイレをするのは、あんまりトイレをした気がしないんですけど・・・・・・(苦笑)まあ、ガイドの言うことは絶対なのでここで着けることにした。 ロープウエイで登って行くと、今日の空模様は薄曇りぐらいの感じだった。天気は昨日ほどは良くないようだ。ウエアは今日は冬用の厚手のゴアのシングルヤッケを持ってきているので、これの下に薄手のフリース、冬用薄手のアンダーウエアとした。ロープウエイを降りると、ガイドは先にトンネルの先に行っているからトイレを済ませたら来て下さいと言った。それで、トイレをしてから一人でトンネルを通って歩いて出口に行くと、既にヘルムートが雪の斜面の少し降りたあたりで待っていてくれた。すぐにハーネスにロープを結んでくれて、いざ出発♪ 既に先行して3、4パーティー位が雪原(プラトー)を進んでいる。今日のペースはどうかな?って思っていたら、すっごく快適なほどよいテンポ。速過ぎず、遅すぎず、ちょうどよいぐらい。ここまでくるアプローチではAさん、Bさんと話していることが多く、またヘルムートも友達のガイド仲間と話をしていることが多かったので、少しコミュニケーションをとるように心がける。昨日はブライトホルンにベネディクトガイドと一緒にグループ登山をしたよとか、今日のほうが少し雲が多いねとか・・・・、とても綺麗な景色ですねとか、とってもつたない英語というのか、単語の羅列に近いのでどの程度伝わったか疑問だが。。。でも、感動はやっぱり素直に伝えたいと思うのは日本語も英語も同じ。 ポリュックスへは昨日と同じ雪原を途中まで同じルートで30分ほど歩き、ブライトホルンパスと呼ばれるあたりから右の方にゆるやかに下りながら氷河の山肌をトラバースするような感じで降りて行く。最初が下りベースなので呼吸もラクなので楽しかった。朝の空気はひんやりしているけど、とてもぴーんとした空気が感じられてかっこいい!!って感じの雪の世界の縦走だ。朝日が雪の斜面に反射する感じがとってもいい感じだ。雪山のこういう感じが好きな自分にとってはるんるん気分♪♪ 穏やかに下って、だんだんとポリュックスらしき山に近づいてくると平らになってきた。途中でヘルムートが小用を足したりするので、ラッキーとばかりあたりの写真を撮る。このあたりはイタリア領らしい。テントが1張り張っていたけど、このあたりのバリエーションルートに登る人のもののようだった。トレースがあるから良いものの、わずかにトレースを外れると積雪は70センチ位と言われただけあって、膝よりも上まで潜り込んでしまう。時たまずぼっとヘルムートも自分も雪にはまることがあった。最初にラッセルしてくれたパーティーに感謝感謝。カストールは全て雪の斜面を歩くようで、降雪直後は雪崩が心配というだけあって、そそられる雪の斜面だ。ポリュックスとカストールはよく双子の山と言われる2個セットのような山だが、ポリュックスの方が小さくて可愛らしい感じだ。カストールは山の形も大きめで立派だ。(ポリュックスは途中に岩場があるので、マッターホルンは岩山なので、そのテストの意味でポリュックスをテストの山としているのだろう) この日は少し曇りがちだったので、やや寒いかと思って冬用ゴアを着て歩いていたのだが、そんなには暑い感じではなかった。ただ、取り付きまでは約1時間半ぐらいだったか、そろそろちょうど取り付きで休むだろと思っていて楽しみにしていたら、取り付きのところで、何故かストックをよこしてというので渡すと、「あと10分で休憩」と言って、そのままストックをデポして、いよいよ雪と岩まじりの尾根筋に上がる。南西岩稜という所だ。いままでは平らな所を歩いていたが、ここからは急な登りとなる。息がちょっとあがってきたが、気持ちよいほど高度がぐんぐん上がる。岩場の途中で先行の2パーティーがアイゼンをつけている。 ここでアイゼン(向こうではクランポンという)をつけて、少し休むように指示があった。やっと休憩で、ここまでノンストップで1時間半ぐらいだったかな。ほとんど道の途中のような感じだけどやや休める程度の所で、安定感イマイチの場所だった。ガイドがきっちりと後ろから確保している。アイゼンを手早く付けることも大切だ。あまりもたもたしていると、印象が悪いものね。テルモスのお茶を飲んでほっとしていると、日本人(Aさん、Bさん)のガイド組があっという間に追い抜いていった。彼らはアイゼンをつけないで登っていく。それにしても、健脚ですごい速度だった。とてもあの速度では自分は登れないなあ・・・・・。 再び登り開始。アイゼンをつけて、岩と雪のミックスした所を登るのは結構気を使う。でも、距離的には短くて、ほどなくAさん、Bさんパーティーがいるルンゼ状の岩場に到着。その前にも、もう1パーティーがいるようだ。ここで僅かに前を待つ。右手に鎖があって、一番下に大きなスタンスがあり、中間に薄いバンドがある。岩は斜めになっているスラブ状だ。 そうこうするうちに、ヘルムートはあっという間に上に上がって確保に入った。私は、鎖を手をすると下の大きな足場には届かない。普通の登山靴のソールならば中間にある小さいスタンスに立っていけるのだが、アイゼンの歯で斜めにスラブになっている所をトラバースするのは、細いスタンスにどうアイゼンの歯を置いていいのやら?結局、鎖に手でぶら下がって、実質ヘルムートに引っ張り上げられたに近い感じ。にこにこしながら、「えい、やあっ!」って感じで引っ張って上げられたに近いのでした。(苦笑) そこで1段上がったと思ったら、またまた少し渋滞。今度は鎖が縦についていて登れそうだ。ちょうど日本人パーティーがガイドに続いて確保を取らずに一緒に登っているところだった。私達は、ヘルムートが上に登ってから確保する形だ。私は待っている間、確保用の鉄棒のようなものにヘルムートの安全環のカラビナをからませてセルフビレイを取った。「登る時にはこれを外して上に持ってくるように」と言われていたので、彼から登ってこいのOKのコールが聞こえたので、いざカラビナを回収しようと思っていたら、ちょうど上から懸垂で降りてきたガイドらしき人物(国際ガイド連盟のマークをしていたと思う)がヘルムートのカラビナを確保用のカラビナに使ってしまった。私がつたないな英語で「これは私のガイドのものだ」っていっても、知らん顔でシラ〜〜〜。そのガイドは私の英語がわからないのか、無視しているのか?「It’s my guide’s karabina」と何度も大きな声で言っても無視しているんだよね。勝手に持っていけっていうのかなあ?何度も私が言うので、さすがに無視できなくなったようで、やっと自分のロープを外してくれた。もっと英語がしっかりできれば、すんなり自分の意思を伝えられるのに、とてももどかしかったし、悔しかった・・・・。いわゆるこういうのがマッターホルンの本番では順番争いで大変なんだろうなあ・・・この岩場でいわばその予行練習をしたようなものだった。上からは、あまり事情が見えない位置のヘルムートが再三早く登れ、OKだよ〜って言うし。。。。やっと、登り出したらスタンスなどはしっかりしてそうだけど、ヘルムートがロープを手繰るのが速くて、ほとんどスタンスを確認する間もなく、ダッシュで登り始めてごぼう抜きに近い感じで上まで到達。さすがに息が切れた。 上に到着したら、いきなりマリア様の像が見えたので「頂上?」って聞いちゃった。そしたら、頂上はあの上だよって、見るとほんのあと僅か。マリア様の像の所は広場みたいになっていて、またまた休憩と写真タイム!! ここでもお茶も飲めるしなかなか快適だ。ここからはいかにも安全そうな幅がある雪稜であと15分ぐらいで山頂という。ここでピッケルを使うようにという指示が出た。ラストの雪稜は元気な人ならほんのひと登りという感じだけど、まあそれなりの高度なのでゆっくりと登ったら10分程度で到着。 山頂は僅かに先に到着したAさん、Bさんパーティーを含む2パーティー位がすでにくつろいでいた。ここからはミシャベル山域やモンテローザなどの山々が綺麗に見えた。ひとつひとつ山の名前をヘルムートと一緒に復唱して確認。大分なじみの山が増えて、ほぼバッチリわかる位だ。どの山も素敵な山ばかりでいい気分だ。昨日よりも雲が多いが、朝よりは天気がよく、晴れと言っていい感じだ。昨日のガイドのベネディクトさんも先行したパーティ−の中に居たので会釈程度を交わした。隣のカストールの山頂にも人が登っているのが見えた。ここでもしっかりと写真タイム。風もなく穏やかな山頂だった。山頂で感激しているとヘルムートから「月曜日にアルプフーベル(4206m)に登らないか?」と誘われた。アルプフーベルは確かあの山頂だな?と思いつつも、実はノーマークの山だった。登りのルートなども全然頭に入っていなかった。ヘルムートは土日はガイドの仕事が入っていると聞いてはいたので、月曜日は空いていることだろう。私は「あの〜、自分はヴァイスミース(4023m)に登りたいんだけど」って言うと、なんと意外な返事で「ヴァイスミースのロープウエイがクローズしている」という。え??初めて聞く話だったので、あれあれ?ちょっと事情が飲み込めず。(大分雪も溶けて山のコンディションはよさそうなのに、何でクローズしているの?) アルプフーベルは大体下から5時間ぐらいで登って、長いけど難しいコースではないということだけはわかった。天気のこともあるし、他の山のこともあるので、なんとも答えられずに、その話はそれでおしまいになった。ただ、ヘルムートが一応自分のことを合格点をつけたのかなあ? |
一番右の山がカストール、手前の小さな山がポリュックス。遠いなあ・・・ | 大分近づいてきました。左がポリュックス。右の岩稜を登るイメージ |
下の鎖場にてAさんとBさん。 | マリア像の広場。 |
マリア様が子供を抱いている像の前で少し休憩 | 山頂にて、来た方向をバックに |
山頂にてヘルムートと私 | 山頂はこんな感じ |
隣のカストールにも登っている人達がみえました。 |
下りは自分が先に降りる。雪の斜面できつい斜面でもないので、とっても爽快な気分だ。まさに自分好みの感じ。あっという間にマリア様の像の広場に到着。ちょうど、ここでAさん、Bさんグループと一緒になる。ここでヘルムートは私のピッケルをとって、ザックに背中から斜めにさしてくれた。ここからはピッケルは邪魔になるからということだ。ヘルムートは日本人のグループのガイドとも親しい感じで(もちろん地元同士で年の感じも比較的近いようなので当たり前か・・・)、彼のグループの後について降りるようにしてくれた。Bさん、Aさん、ガイド、そして、私、ヘルムートの順番だ。 ところが、さあ降りましょうというルートが、登りに取ったルートでなくて、マリア像の後ろの左の山肌から降りるルートだ。登りには南西岩稜の尾根を上から下を見て大体右側を登った感じだと思うが、今度は左側を降りるという趣旨らしい。たしかに、ひっきりなしに後続パーティーがかなりの数で登ってきているので、ルートを変えたほうがすれ違いがなくてよいのだろう。さて、そのルートであるが、あれあれ・・・・・ 先頭でなくて、正直良かったなと思う雪と岩がちょうど7:3か6:4ぐらいの嫌らしい感じのミックスルートだ。岩の上に雪が薄っすらと載っているような所が多かった。雪が凍結していないのが救いだが、先に降りた一人か二人位のトレースが微かにある程度だ。どこでも降りられそうな、降りられなさそうな斜面で、ちょっと悩ましい。きっちりとしたトレースでもあればそうは思わなかったのだろうが、ガレガレしたルートでどこを進むべきか、なんとなくわかるような、わからないような・・・・。正直なところ、自分はミックスでの経験がほとんどない。山スキーだと全部雪という感じだし、このルートのように岩がそこそこに出ていて、それなりに急斜面で足元が不確かなルートというと日本でもザイルを使うレベルなので、さすがに単独が多い自分ではやっていない。日本での感覚だと一般ルートの雪山でなくて、バリエーションルートレベルという感じだ。今回はちょうどガイドに挟まれた形なので、ラッキーだった。まあ、そうはいっても、腰が引けるほどではなくて、まあなんとかこなせるレベルだったのでほっとした。 ガレルートなので、安定しない岩や石の上とかに乗らないように気をつけて歩くが、Aさん、Bさんは最初を歩くので大変だったと思う。そのとき、一瞬にしてAさんが頭から一回転した形で真下に滑落!!!!!! 思わず、自分でも無意識に「FALL!!」と叫んだと思うが、見るも鮮やかに1秒後にはガイドがザイルで確保。ほとんど1m位しか滑落していないと思う。(後で伺うと、Bさんが先頭にいて、岩に身を寄せるような形で少しAさんの降りてくるのを待つような形だったのでBさんもザイルを引いて確保したのだという) あまりの一瞬の出来事に、戦慄が走ったのと同時にガイディングの凄さを改めて目の当たりにして、その技の素晴らしさに感嘆した。恐らく、ヨーロッパのガイドはこういうフリーな感じの部分を歩く際での確保術はとても優れているのだろう。日本でクライミングガイドと言っても、ひとつひとつのビレイ点で確保するとかはあるだろうけど、何気ないこういうシーンではこういう風にできるのだろうか? やはり、ヨーロッパのガイド技術ってすごいんだなあと感動した。Aさんはやや肩を打撲しただけで済んで、見ていた全員でほっとした。 こちらは見ていて恐かったので、その後はヘルムートから先行パーティーとやや違う場所のルート取りをするように言われた。それで、自分は彼らとはやや違う左よりのルートをとるようにした。自分が今度は本当に先にたって降りる形だが、後ろからガイドがロープを張っているので、なんとかなるもので、それなりの勘で降りていくと、わずかな距離であったがルートファインディングが面白かった。登りに休憩を取った上あたり?に出たような記憶がある。ここで、「あ〜今度こそ登りのルートで降りるのかな?」と思っていたら、ダイレクトに雪の斜面が右にあって、そこを降りるようだ。既に何人か降りたトレースがあり、降りている人達も見える。ここは何故か10年以上昔に雪の季節に行った木曽駒から千畳敷に降りる乗越浄土からの下りのイメージがなんとなく自然と彷彿された。35度位からだんだん緩くなってくる程度の斜度と雪の感じでといえばいいのかな。この手の雪斜面は好きなので、ご機嫌な気分で降りていると、表面の雪が大体締まっていてアイゼンも効いていい感じなのだが、所々最中の皮を破るようにして踏み抜くと膝どころか太ももの付け根まで埋まってしまって、足を引き抜くのも大変。結構汗をかきながら降りるようだった。でも、楽しかったなあ♪ ガイドはきっちりとストックをデポした所を覚えていて、乱立しているストックから自分達のを回収すると、まもなく取り付き点の平らな所に戻ってきた。 取り付き点に戻って、やれやれ。なかなか、ミックスのトレーニングとしてはためになった。ここからは、クラインマッターホルンの駅まで登り返しなので、陽も照っているので、アイゼンを外して上着も脱いで軽く食事や水分補給をして休憩。ヘルムートは知人とかなりおしゃべりをして話し込んでいるので、なかなか出発しない。こちらは幸いとばかりに写真を撮って遊んでいる。先にAさん、Bさんパーティーが出発。大分してから、私達も出発。ポリュックスの第一陣で登った人達が転々とブライトホルンパスに向かって登っているのが手に取るように見える。最後が登りというのが、ちょっとなあ〜〜(苦笑) ヘルムートは登りでもいい感じのペースで、速過ぎず遅すぎずの快適なペース。黙々と氷河トラバースをしているが、陽射しはまぶしくてサングラスをしていないと絶対に耐えられない感じだ。だいたいコースはだらだら登りと平坦が混じったような感じだ。Aさん、Bさんパーティーが着る物を脱いだりした形の休憩を取っているようなので、ヘルムートも少し距離を後ろにとって合わせて休憩。なんだか、とっても適度に休憩をしてくれて助かるなあ。水分も取れ取れというし。高山病予防には水分は大切なんだけど、あまり飲みすぎるとトイレに行きたくなるのがネックなところだ。どうやらヘルムートは前のパーティーのガイドに気を遣っていて、決して抜くことはしないようだ。(ほどほどに休憩させてくれるという大変ありがたいガイディングだった。) ここを登るとたぶんブライトホルンパスだろうという段差のような急な所を登りきると、平坦な雪原に出た。クラインマッターホルンまでは単調な昨日と同じ道だ。でも、結構あるんです・・・・・。黙々と歩いていると、Aさん、Bさんパーティーにやっと追いついたが、微妙な感じでそれ以上は速くも歩けないし、なんか足がやや重い。雪道特有な疲労感とでもいうか。それにひきかえ、Aさん、Bさんの足取りの軽そうなこと。。。。。100キロマラソンで鍛え上げた脚力の違いを目の当たりにした思いだった。暑いぐらいの陽気だったのが、涼しくなったなあと思ってしばらく歩いていると、ガスが出てきて、最後はほとんどガスの中。さらに前にパーティーが1つか2ついるし、トレースもぱっちりなので安心だが、これだけの何の印もない所でホワイトアウトになったら・・・・・。さっきまでの陽気が嘘のようだった。 自分が結局クラインマッターホルンに到着した時には、完全なガスの中。観光客もまばらだった。良い時に戻ってきてよかった。駅で、仲間とすぐにガイドがおりようとしているので、慌ててチップを渡した。自分は少しゆっくりしようと思って、のんびり降りますと伝えた。 少し余韻を楽しみたいなあと思ってみたものの、あたりは真っ白で何も見えず。少し晴れるのを待っていたが、全然回復の様子も見えず。早々に引き上げて、昨日展望の良かった1段下がったトロッケナー・シュテークまで降りることにした。ロープウエイで降りて昨日の展望台のテラスに行ったところ、ここもどんよりとした曇り空。テラスにはほとんど人がいない。ここのトイレはとても綺麗なので(上のトイレは有料で汚いので)、ゆっくりしてから、しばらく休憩も兼ねてぼーっとしていた。マッターホルンは今日もここからは全容が見えず、部分的だったのが残念。(ここから見えたら、すごい迫力ある距離なのになあ・・・・。) ここで、ロープウエイに乗ろうとしていたら、なんとAさん、Bさんが現れてびっくり。上で祝いのビールを飲んでいたのだという。下りのロープウエイやゴンドラでお二人のお話をお聞きして、とても話した足りないので、どこかでお茶でも・・・・となり、私の泊まっているホテルのカフェのOLD ZERMATTでお茶をして、色んなお話を伺った。社会経験の豊富な方のお話はとっても刺激的でした。山を登る以前に、社会人として大変立派なご活躍をされている様子がとても頼もしく、仕事と遊びの両立を立派になさっている様子がとても感銘を受けた。Bさんは、去年NHKで放送していた鉄人レース(キナバル山登山競争)にも出場完走しているという話なども伺えて、びっくり。日本でのこの山行のために二人で実施したトレーニングも白峰三山日帰り速攻縦走(それも、奈良田に早い時間に降りているのには2重にびっくり)などのお話も伺うと本当に驚きの世界だった。時間が経つのがもったいないぐらい貴重なお話が聞けて嬉しかった。それと、お二人とも私のガイドのヘルムートがいかにも親切で優しそうだと褒めしていた。やっぱり、他のパーティーの人から見てもいかにも優しそうというのはすごいですね。(確かに、Aさん、Bさんのガイドはたぶん20代でちょっと顔も精悍な感じで恐そうな感じだった。笑 ) ホテルの自室に戻ってから、ゆっくりと寛ぐ。アルプフーベルのルートを調べてみるが、よくルートがわからない。何本かルートはあるようだけど、ヘルムートの話だとテッシュから登るような話だったが1500m位は登らないとならないようだ。簡単だけど長いよって言っていたっけ。夕方アクティブマウンテンと電話で打ち合わせ。明日はやはり予定通りオフとして、今後の予定はまた明日の夕方にでも天気を見ながら決めることにした。 それにしても、特に何も言われなかったので、たぶんポリュックス登山で一応マッターホルンの事前テストとしては合格したようなのかな。時間的のもすんなり行けたし、大きくドジも踏んでいないし、高度順応でもあまりきついって感じではなかった。(後でエージェントを通しての話として、ヘルムートさんからはこの日のポリュックス登山は、大雪の影響でいつもよりもほんの僅か程度難しかったということだった。新雪のための踏み抜きや、トレースを僅かに外れた時のもぐる感じのことを指しているような感じで、若干時間が多くかかった話だった。まあ、ミックスはこちらでは当たり前なので、トレースが新雪でもさもさしていた分が通常と違いところということだろうか)
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ここの広場から左側の斜面に降りていくことになった | 取り付き点に戻ってヤレヤレ |
これから山頂に向かう人がまだたくさんいました | クラインマッターホルンは中央奥のあたりです |
プラトーへの登り。先行するパーティーはAさん、Bさん組 | クラインマッターホルン駅はガスの中でした |
今日は誰もいません。昨日登ったブライトホルンなどはガスに見え隠れ | 今日もマッターホルンは半分だけ。これ以上雪が降りませんように・・・ |