ときどき日記 その6





 第56話  山スキーの感覚

山スキーは、まだ始めて実質3シーズン目。大して本数を滑っている訳ではないので、まだまだ初心者レベルである。

今回根子岳に行って、斜面は緩やかで単純に滑るだけなら全然問題ない斜度。もちろんバックカントリーなんで、それなりの雪質の変化なんかはあるけど、それも自分の技術範囲で十分OK。概ね滑りやすくて楽勝と言えば楽勝なんだけど。。。

だけど、本当の所はゲレンデで滑っているような安心感はないんで、常に位置確認などしているし、初見のルートに一人で行ったので、大丈夫か?と心配性の私はずっと滑っていたもんです(苦笑)

思えば、今まで滑ったことあるルートは、ほとんどピストンのルートか、沢筋を滑降すると自然に間違いなく降りれるコースだったので、安心感があった。今回のケースは、そういう意味では若干違っていたので簡単なんだけどそれなりの難しさを感じた。

ちょうど、クライミングで言えば今まではトップロープで登っていたのを、今回はリードで登ったという感覚か?トップロープが簡単とか、リードの方が難しいと言いたいのではない。ただ、リードの時に感じる「この瞬間落ちたらどうなるか?」と常に感じながら登る感覚と、ルートミスをしないで滑るという感覚が似ていると思った訳でした。いわゆる精神論みたいな違いだ。さしずめ、滑りは簡単なんで、誰でも登れる5.7か5.8クラスのリードという感じ?(注:トップロープは上から常にロープで確保されている。リードは、自分でロープを引いていく登り方。トップロープならば、すぐに落ちても止まるが、リードは落ちる位置によってはそれなりの距離を落ちるし、落ち方が悪いと結構やばいです。)

山スキーも、ガイドツアーや何度もそのルートに行っている人に同行してもらえば、難易度のある所もトップロープ感覚で行けるだろうし、それはそれでまた楽しい。(厳冬の八甲田なんて、さすがにツアーでないと行く気がしない。)でも、個人や少人数で行くという感覚は、味わったことがない人にはわからない醍醐味と達成感があると思う。

ガイド登山だけとか、人の後ろだけを追随するような形でしか山を味わってない人もいるようだけど、この楽しみを放棄してしまっているのかなあ?(パーティーにあっても、主体的に行動する人はもちろん多いが。)もちろん、行けるのは自分達の実力相応の所に限られるので、実力不相応?な背伸びした場所には行けない。 

山スキーは沢屋さんが冬にやっていることが多いが、これも、沢登りで感じる「次に何が出てくるかワクワク」みたいな感覚が近いからかなあ?って漠然と思ったものでした

                                           (2004年1月20日記)



  第57話  登山用具の運び方

この前、特急あずさでスキーに向かう時のこと。通路側の座席に座っていたら、なんと私の顔のすぐの所に、「シャルレのアイスバイル2本」(アイスバイルとは、アイスクライミングに主に使うピッケルをさらに鋭くした鋭角なもので、ぎざぎざの刃が特色)が超接近!!それが、全くの刃がむき出しで、プロテクターも何も付けず、ザックにつけて、ザックを振り回すように歩いていた人がいた。思わず「バイルむき出しなんて!」と叫んでしまった。本当に私の頬のあたりにほとんどぶつかりそうだった。真新しくて1度も使った形跡がない鋭い刃がギラリと光っていた。

持っていた人は、50代後半位の男性か?初めておもちゃを手にしたような?嬉しさ一杯みたいな感じで、悪気はないんだろうけど、私から注意されても意味がわからないらしく?きょとんとしていた。相棒の人の方が彼に注意していた。(相棒の人は、縦走用の長めのピッケルで、一応プロテクターを付けていた。二人とも小淵沢で降りたけど、どこでアイスをやるのか?一人がピッケルで、一人がバイル2本の初心者風では??)

そもそも、電車等の交通機関で移動するのだから、絶対にピッケルやストック、アイゼンなどは他人に危害を加えない形で携行するべきなのだが、意識に欠ける人が多いようだ。自分は、登山口までは別の袋等に入れて手に持って行動している。ザックにどうしてもつける場合は、当然プロテクターを着ける。12本アイゼンをプロテクターを付けてザックの上に付けて歩いている人がいるけど、山の中でもないのに何でそんなことするのか?私自身は、山の中でも万一転倒等でアイゼンがザックから外れたら怖いので、ザック内にしまっている。

ヨーロッパアルプスに行った時に、空港で出迎えに来てくれた日本人ガイドがまず最初に言った言葉が印象的。「ヨーロッパでは、交通機関ではピッケル、ストックなどは、必ず手に持つことが原則なので、ザックには絶対に付けないでください。ロープウエイ、ケーブルカーなどではつけたままにしていると乗せてくれません。」ヨーロッパは、それだけ登山文化、アルピニズムの伝統がしっかりしているし、ガイド組織もきちんとしているので、やっぱり学ぶべきものが多いなあ。。。

ピッケルやアイゼンは単にお金出せば買えるものだけど、山での使い方だけでなく、その特性も認識して携行するべきだと思った

                                          (2004年2月1日記)




  第58話  地下鉄サリン事件から9年が・・・・

地下鉄サリン事件から9年。ようやく松本被告に第一審判決が言い渡された。当然の死刑判決。9年前の3月20日は私にとっても忘れられない日だった。

その当時は、世田谷に住んでいて、小田急線から地下鉄千代田線に乗り換えて通勤していた。私はその日は席に座っていたことを記憶している。たぶん月曜日だった。電車はいつもよりものろのろと進んでおり、表参道駅あたりからは完全に止まってしまった。一つ手前の明治神宮前駅(実質JR原宿駅とつながっている)ならば、簡単に山の手線に乗り換えられるので、早く故障とか人身事故の情報を流して欲しいと思いながらも、まあ座っているのでこのまま遅刻するけどしようがないなあ〜と思っていた。

ところが、いつもの事故とはなんだか様相が違う。大分経ってから流れた放送が「霞ヶ関駅付近で化学物質が駅に撒かれた様子です。霞ヶ関駅は現在閉鎖されました。霞ヶ関駅では乗降はできませんのでご了承ください。」とのこと。なんだか妙な胸騒ぎはしたけど、その時点では、既に乗り換えする選択肢も少なかったので、そのまま乗っていた。

ちょうど、左隣りに座っている人が読んでいた新聞がたまたま「昨日松本の方で宗教団体に捜査のメスが入った」記事だった記憶がある。(後で考えるとオウム真理教であった)その時、なんだか変なことする団体だなあ、捜査はしっかりして欲しいなあと思った。漠然と松本の異臭騒ぎの事故と今起きている「化学物質をまかれた」というのが頭の中で結びついて、もしかして、これもそういう変な団体のせいかも?ととっさに松本異臭事件(当時はサリンとは判明していなかったと思う)を連想した。

霞ヶ関駅を通過した時のことは、今でもはっきり覚えている。誰もいない異様な光景。今は朝のラッシュ時間なのに、なんだかとても不思議な気分がした。思わず、電車の窓を見ると、少し離れた向こう側の左の窓が10センチぐらい開いていた。<なんだか、悪い空気が入ってこないといいのになあ。近くの人が閉めればいいのにな>と漠然と思ったものでした。

霞が関を過ぎると、何事もなかったかのようにいつものように進行していった。会社には、相当な遅刻であったけど、他の人達も、あちこちの地下鉄で変だというぐらいの感想で、当時は月曜日が超多忙の仕事だったので、仕事をこなすだけで、精一杯の状態で朝の出来事もすっかり忘れていた。

ようやく、大変なことが東京都心で起きているというのが判明したのは、もう少しで昼という時間だった。外を回っていた人が帰ってきて、「大変だ」と言ったことが発端だった。

なんだか、ぞっとして、背筋が寒くなる思いだった。時間が経つにつれて、だんだん全容が明らかになるにつれて、本当に怖さが募ってきた。事故の発生時刻が8時半ぐらいだったので、私の勤務先の中でもやや早めに出勤してきている人の中には事故に遭われてしまった人もいた。(未だに視野狭窄の後遺症が残っている人もいる)

私は、地下鉄の中の恐怖感、閉塞感を体感してしまったので、なんだか毎日霞ヶ関を通過するので気分的に嫌だった。大分長く世田谷には住んでいたけど、いろんな意味で気分転換したい思いも募っていたので、思い切って引越しすることにした。通勤の条件がやはり地下鉄を使わないというイメージの所にすることにした。

そんな訳で、この事故から約1年1ヵ月後に、現在の住居に引越しすることになった。早いものでもう8年である。地下鉄サリン事件で引越しをしたかと言うと、たくさんの想いが他にもあるのでなんともいえないけど、転居の契機になったのは間違いないと思う。たぶん心の中の10%位の契機になったのかなあ? 

最近では、まだオウム真理教はアレフとかいう名前を変えて、世田谷に本拠を置いてまだ活動しているという。(前の住居からは3キロぐらいの場所らしい。さらに、引越し先の別の候補だった場所からは2キロも離れていな場所らしい )、まともな団体でないことは間違いないので、変な宗教の呪縛から解かれないまだ多くの信者が早く解脱されることを祈るとともに、多くの犠牲者の死が無駄にならないように心から願う。

事件は風化してきているけど、決して同じ間違いが起きないことを祈る。

                                         (2004年3月28日記)
      



  第59話  去る人、人

今年も3月となると、会社では人事関係の話が結構出てくる。大規模なのは7月に行われる予定であるが、4月にもある程度行われるので、なんとなく落ち着かない。ところが、2名も職場から会社を去る人が出現した。

一人は、入社丸3年を終えようとしている某女性。背がすらっと高く168センチもあって、色白美人。今までの仕事は、11月24日のこの日記にもチラと書いたけど、大量処理を行う分野の仕事は人材派遣社員が行っているが、定型的に処理ができない根回しや苦情処理専門を一手に引き受けているのが正社員の仕事で、それを彼女は行っていた。正直なところ、仕事の内容が納得感があまりないような性質の仕事なので、ストレスが溜まると思う。(自分担当の仕事だと、法律論で論じられる分野なので、仕事はかなり難しいけど納得感は得られている)

最近の若手女性のほぼ全員が「お疲れ退職」。力尽きての退職や心身症になっての退職で、転職先を決める元気もなく辞めている人がほとんど。寿退職なんてめでたい話はとんとご無沙汰だ。彼女は転職先を見つけてきてからの退職なので、まだ救われる。それも、会社のネームではうちの会社がどんなに金融関係では世界的にも有名と言っても太刀打ちできない、「某ファッション関係の世界的ブランド」誰でも知っている会社だった。元々ファッション関係の仕事をしたかったみたいだけど、やる仕事は高級ブティックの売り子さんなんだけど。。。どっちがいいのかなあ?

もう一人は、去年7月に来たばかりのラインオフされた管理職だった方。とても紳士な方で、穏やかな性格と長年培ってきた営業センスもあって、周りからとても信望があった。やっていた仕事は前任が心身症で退職した女性の後任で、内容的には辛い話が多いが、あっという間に難なくこなせるようになって、この人の任せておけば安心という感じだった。それが、第二の会社から仕事ぶりを見込まれて急遽退職。9ヶ月だけだったけど、私達の仕事のノウハウを見込まれてというのはなんとも世の中面白いものです。

退職にあたって色々と伺うと、彼は入社した10年間は海関係の部門に所属していたと。なんと「東京商船大学」の出身だった。さすが「海の男」で紳士だなあ!女性社員一同納得!!昔ならば、さしずめ海軍士官学校のエリートという感じでしょうか。海の男はやっぱりカッコイイなあ〜〜!(山女の私が言うのもなんか変?! )
                                        
(2004年3月28日記 )



  第60話  現代歯科医事情

このところ仕事柄、何故か歯医者さんと話をする機会が多い。なんだか、困った話ばかりで、こっちも困ってしまうのだが(苦笑)、私の仕事に関してはこっちがプロなんで、色々とレクチャーする。

あまりに、専門的な話が多いと、顧問の歯医者さんの先生に相談したいが、その先生が入院してたり多忙だったりするので気軽に相談できない。そこで、長年私のことを治療をしている歯医者さんに半分相談、半分愚痴話をしている。

そうすると、色んな事情がわかってきた。私のかかりつけの歯医者さんは50代ぐらいなんだけど、私が話す困ったケースは「極めて初歩的なミスばかり」という。なんでこんな初歩的ミスが多いか?というと、実は歯科医院の乱立に問題があるのだという。

かつては、歯科医院の数がそんなに多くなかった。それで、ある程度の数の患者さんが大学病院にも流れていた。歯医者さんは6年間の教育を受けるが、その間に大学である一定数の練習をつむことができたのだという。ところが、歯科医院の数が増えた現在では、街の歯医者さんでほとんどの人が治療するので、大学病院で治療を行うというケースは、本当に超重症の患者さんばかりになっているという。そうなると、学生さんの練習の材料がなくなってしまい、教授とかのベテランでないとこなせない症例ばかりだという。

そうなると、大学で経験をつめないまま、いきなり街の歯医者さんに就職=いきなり本番みたいな人がほとんどだという。お医者さんのような、研修医制度なんかはないので、これでは腕を磨く機会がないといえる。いきおい、下手な歯医者さんが続出。トラブル続出という構図だという。

私の懇意の先生曰く、「技術はもちろんだけど、マインドの問題も大きいんだよね」という。はやりの儲かる高額医療(インプラント等)は、1本40万程度、それをウン本も入れるから、ハイリスクハイリターンだけど、危険もそれだけあるということを歯科医も、患者さんもわかっていなくてやっているケースが多いという。お金を多くかけて、期待が大きければ、それだけ失望も大きく、クレームも大きくなる。それに耐えるだけの技術と精神的タフさがないとやっていられない。

困ってから、泣きつかれるようでは、相談にのっている私の方も「こういう先生には治療してもらいたくないな・・・」と思ってしまう。歯医者さん選びは、くれぐれも慎重に!!
                                      
 (2004年4月2日記 )


  第61話  犯罪の香りがする会話 

先日、お気に入りの地元のラーメン屋さん(自分はラーメンが大好き♪)で休日の3時ごろか?大分昼には遅い時間にカウンターに座ってラーメンを待っていた。10人も入れないような小さなお店なんだけど(でも、雑誌でもよく紹介されている美味しいお店だ)、そのときは自分を含めて3人しか座っていなかった。

お店に私が入ったときから、右の方に携帯電話でしゃべっている女性がいた。年の頃は30代後半から恐らく40代半ばぐらいだろうか? 派手な下品な感じな顔立ちで、きつめのメークと豹柄みたいなパンツを履いていたと思う。ずっとしゃべり続けていて、その女性の大きい声は静かなお店の空間に電話特有な会話がとてもうるさかった! 相手の人と何か打ち合わせの話しをしているようで、話が終わりそうになると、また続くみたいな、早く切れよ・・・と思っていた。

私のラーメンが出されて、うるさいのを我慢して食べていた。その女性の方には先にラーメンが提供されていたけど、ラーメンに箸をつけるでもなくしゃべり続けていた。大分ラーメンも伸びた頃に、やっと電話が切れた。少し女性もラーメンを食べ始めた頃に、再び同じ電話の主から電話がかかってきて、今度は箸でラーメンを食べるでもなく、箸でラーメンをかきまぜたり、遊んだりして、見るからにまずそうにしていた。ああ〜〜見るに堪えない、聞くに堪えない。。。美味しいラーメンを、こんなにまずそうにして。。。。

そうこうしていると、「メールを2000通も送るなんて、それはどういうこと?」「・・・」「それって、犯罪すれすれじゃない?」「・・・・」「うまくできればいいけど。パソコンのサーバーが云々。 メールアドレスを云々」「・・・・」「儲かればいいけど。バレない?」(・・・ は受話器の相手の方の会話。当然そこまでは聞こえないので内容は?ですが)

そんな会話が始まった。ラーメンを私は食べ終わったので、早々にうるさい会話から逃れたくてお店を出た。せっかくの美味しいはずのラーメンも、その日はずいぶん味気なく感じた。あ〜〜もったいない・・・・

ちょうどこの頃「債権回収会社」だの「債権回収代行」等の不快な名前の所から全く利用した覚えもないサイト利用料を求めるメールが続いていた。最近は報道されているけど、これらは全て詐欺の一種である。

どうも、ラーメン屋さんで聞いた内容は、要はメールを大量に流して、犯罪行為すれすれの何かをしようとするものだった。詐欺まがいメールをどうしても、直感的に連想してしまった。会話のなかで、手当たり次第にメールを流すというセリフがあったので、よくない企ての会話であったことは間違いないようだ。

さて、これらの詐欺まがいのメールは、一見「債権回収」とか怖そう?(法学部出身の私には当たり前の法律用語で、何それらしいネーム使ってやがるんだ!!ぷぃぷぃ〜 ってな感じだけど)な名称を使っている。内容はぼぼ共通で「金幾らをいつまでに払え」という内容である。

私の場合、仕事でホンモノの訴状とか内容証明(要は弁護士さんが作成する裁判へのお誘いや各種の権利主張する書類)などを見ているいるので、これら詐欺まがいメールは、まるで小学生の作文レベルに見える。法的権利主張をするのならば、最低限「貴殿が○月○日何時何分より××時間(分)ご利用になった、某▲▲サイトのご利用料につき 金何某円を請求するものとする。」程度の記述は必要である。大体お金を払うときに、<お店の名前と商品の名前とお値段>位は必須である。自分がどのお店で、何の商品を、幾らで買い物しているのかも知らずにお金払う人もいないと思う。また物を買えばレシート位はお店は発行するのが当たり前である。

それが、何故かこの手のネット詐欺は、人の心理を巧みに利用して、よく情報を被害者が確認しないで、少額だからといって、お金を払って騙されている人がある一定数いるのが哀しいところだ。これらで、味をしめる犯罪者が誕生し、悪の助長につながる。

また、余談ながら、大阪方面ではこの手のインチキ債権回収業者が、いかにもそれらしく装うために、勝手に幾つかの法律事務所の名前が使われているという。なんの偶然か、たまたま私担当の相手側の大阪の弁護士さんのことをネットで検索したら、大阪弁護士会のホームページに辿りついた。。その弁護士事務所は勝手に事務所の名前を悪用されて困っているという情報のオチまで知ってしまった。(苦笑)
                                     
(2004年4月15日記)


  第62話  山での呆れた話

今回GWは立山に行ったが、そこで体験した2つの話と、聞いた話など、ちょっと呆れた山での話しを3連発書いちゃいます。

まずは第1弾。それは、私が29日にスキーをつけて室堂ターミナルから観光客や登山・スキー客等が行き来する雷鳥沢へのメインストリートを移動していた時の話。雪は既にザクザクしていて、スキーでゆっくり動く分にはコントロール可能な雪だった。確か場所はみくりが池温泉にやや下る道だった。団体旅行の名札をつけた団体さんが一杯登って来ていた。当然私は、彼らが登りきるのを待っていた。ボーゲンみたいなハの字で待機していた。全然急いでないので、ゆっくり待機していたつもりだった。

ところが、いきなり中年のおばさんから、ものすごい大きな声で「ルール違反だ!!」突然怒鳴られた。「はぁ〜〜?」 あまりの大きな声で突然何がルール違反か?おばさんはスキーをそこで滑ること自体がけしからんみたいなセリフだった。滑り派の私としては、引っ込んでおれない。「何がルール違反なんです?」って反論したが、おばさんは訳のわからんセリフと共に去っていった。

あまりに悔しいので「何言ってるの、おばさん!!」って私も切れてしまった!私は、大体人のことを「おばさん」と言うのも好きではない。自分だって十分おばさんの年齢だ。でも少なくとも、私のことを攻撃したルックスも雰囲気も完全な「おばはん」には絶対になりたくないと思っている。

大体、立山は観光客も登山客も滑り系人種も皆一緒に仲良く自然を味わうところだと思う。雪に完全に足を取られる防水性のない靴や雨具等も持っていないような極めて軽装な観光客だって、雪山のルール違反者だ。その私を怒鳴ったおばさんは、手提げ袋のような物を手にぶら下げて、バランス取るのも大変そうに、はあはあしながら登ってきていた。観光客でも、きちんとデイパックとか長靴とか対策してきている人だっている。千差万別だ。

少なくとも「晴れた」立山ならば、あまり目くじらを立てないで皆んなで楽しみましょうと私は思う。それが、「スキーをつけて道を滑っているのはけしからん奴」って一方的に怒鳴りつけられるのは、たまらんです。「晴れた立山」は皆のもの。楽しく色んな立場で楽しみましょう。(でもガスの濃い立山は、マジに怖いので観光客はターミナルから100mも離れてはまずいですよ)


第2弾は、危険性についての認識の話。話は、GWに一の越にスキーでシール登高していた時のこと。一の越までは登山者もスキーヤーもボーダーも数珠繋ぎの行列となっているのが通例である。私の前に私と同じスキーメーカーTRABの山スキーを運んでいる人がいた。TRABは山板専用メーカーで、トップに穴が開いている。その人は50代ぐらいの男性で、150センチ位のゲレンデ板をサイドにくくり付けていた。

問題なのは、もう1セット(奥様か友人の板か?)のTRABをトップの穴に紐を通す形で、ベンディングが下になるように、ザックから斜めに引きずる形で運んでいた。自分も引きずることはやるので、よく観察。これは真っ青〜〜。トップに絡めた細引きは、細くて3ミリ位?のを、ごちゃごちゃに結わえてあった。要はとっても頼りない細さ。

まあ、紐は切れなければいいけど、最大に怖いのがスキーからザックに接続している部分が、プラスチック状のクリップ状のところに無造作に差し込まれていることだった。そのクリップは、頼りなさそうで、ザックサイドからゆらゆらと引っ張られている代物だった。

ザックの中でも、頑丈なピッケルホルダーの丸い輪とかに通せば、比較的安心に感じたと思う。それが、見るからに壊れる可能性もある細いクリップに通して、転倒等したら、クリップからはずみでスキーが外れる可能性が十分ある。

観光気分の山スキーと言ってしまえばそれまでだが、スキーが流れた場合、スキーで人を傷つける可能性をこの人は考えていないのだろうか?スキーを流して泣きをみるのが本人だけなら、お天気もよいこの日の立山ならば、笑って済ませることもできるかもしれない。だけどシビアな状況ならば、スキーを流すことは生死にも関わることである。

人によってリスクに対する考え方は、本当に様々だ。よっぽど、そのおじさんに注意しようかと思ったけど、そっと、自分はその人から離れることにした。逆切れでもされたら、怖いもの。

第3弾は、人から聞いた話。GWの某山小屋にて。詳細は伏せますが、「山小屋の乾燥室は濡れた物を乾燥させるためだけにある」とだけ言いましょう。決して、他の用途のためにあるのではありません。20代の男女ならばまだしも、分別あるいいご年齢の方は・・・・・・。やっぱり、呆れた話でした。 

                                           (2004年5月8日記)


  第63話  2003-2004年シーズン 山スキー総括

今年は、全体に雪不足と暖冬で、そのために思うように計画できなかった部分があった。山スキー再開3シーズン目で、今年は8本ほど山でスキーを出来たが、やっぱりもう少し滑り足りないのは残念なところである。

さて、まずは装備面についての振り返りだが、現在の板とビンディング、ブーツ、シールも2シーズン目で慣れて自分の物になった気がする。軽量の12本アイゼンとクトー(スキーアイゼン)も購入したが、持って行ったことはあるものの、使う出番がなかったのは本当に残念だった。GW山行前には、ブラックダイヤモンドの2段式のストックを購入。さすがに以前使っていた3段式の安物のストックよりは使いやすい。

最高のお買い物はGPSだった。以前から欲しいと漠然と思っていたものの、実際に購入してみると、かなり素晴らしいものであるとわかり感激した!! 今までの感覚では、お天気が悪化してガスでもまかれたら、絶対に一人では怖くて行けないルートに、行く気になれる機械である。(でも、やっぱり天気悪い日は行きたくない)

あまりのGPS頼みはいけないが、地図と高度計だけでは真っ白な雪の世界は限界がある。そんなにメチャクチャ地図読みが得意なわけではない私ぐらいでは、GPSも併用して、確実に現在地点やルートを確認することがとても重要だと思う。パーティーならば、行ったことのある人に従ってというのが、なかなか安全であるかもしれないが、初見で一人で行くならばGPSは本当にありがたい。去年までは、登りと下りが同じとか、迷う余地もないほどメジャーとかのルートを滑っていたが、これによってもう少し自分の幅が広がった気がする。(GPSなしならば、今年の金山沢や妙高滝沢尾根のようなルートには行かなかったと思う。)

また、ゾンデとビーコンも買って、これでようやく3点セットが買い揃ったが、ビーコンはまだほんの遊びに使っただけで、とても使いこなすには大変な物のようである。来シーズンは、できればきちんと1度は講習会に入って勉強したいと思っている。

次に、肝心のスキーの技術の話だが、本当に久しぶりにゲレンデスキーを含めて20日以上の年間滑走日数を越した。実に学生時代以来!!ずっと10日以下ぐらいの年間滑走日数の時期が長かった。経済的にスキーをするのが困難な時期が続いていた。やっと少し行ける状態になってきたのが、とても嬉しい♪

今年は八方尾根のスキースクールの「レディースキャンプ3日間」に参加して、女性講師から分かりやすく講習を受けた。2月に行ったので、堅めのバーンでカービングターンをしっかり学びたかったが、まるで3月下旬の重い雪みたいで、山スキーの悪雪対策にはとても役立つ内容だった。また半分以上は、ひたすらコブ練習のためのものだった。

講師の先生にも、私の滑りは(カービングではなくて)「山で強そうな滑りですね」という評を頂いた。(要はズレの滑りってことかな?苦笑)私の板はカービングの度合が緩いので、いまだにカービング滑りがよくわかっていない。やはり来シーズンには、ゲレンデ専用の板を買うことを決心した。

八方の練習のお陰と板が短く回しやすくなったので、長年の課題のコブ滑りが以前よりもややできるようになってきた。(去年は、全くできない状態まで退化していた。恐ろしい〜〜)なぜコブにこだわるかというと、短い間隔でのスキーの回転や操作性を学ぶにはもってこいと思うからだ。急斜面で幅も限られた斜面や障害物がある山の斜面を滑るには、瞬間的に飛んだり跳ねたりできる(いわゆるジャンプターン)こともできないといけないと思うからだ。とにかく、もう少し滑りの幅を持てたほうが、山滑りも、より楽しく安全になるはずだ。

一応目標は、斜度40度の斜度が出てきても、確実に滑落しないで滑れることである。(シュプールの格好のよさまでは求めてません。苦笑 )今シーズンは、35度位までは、雪質が滑りやすかったせいもあり、余裕でこなせた感じだった。これを、アイスバーンや滑りにくい雪質でもこなせるようになるのが課題である。

「滑走日数がシーズン10日間までは去年の技術を維持するのに最低な日数。それ以上滑って学んだ分が上達につながる」という話がスキーを学ぶ時にされる事が多い。なるほど〜〜、やっぱり真実ですね。今年やっと少し久しぶりに上達したのはそのせいお陰です。

さて、本番の山滑りの話を書くと・・・・
今年、8本滑りに行ったが自分なりの評価はこんな感じです。

★今シーズンの滑りでよかった所
 ベスト1 芝倉沢  2番 立山大走りルート 3番 平標山

★勉強になった所
 1、若女平コース mt.raccoさんからGPSの使い方を身近に学べてとても役立った。気象条件的には辛い部分もあったが、パーティーでの山行で楽しかった。
 2、妙高滝沢尾根 初めてのGPS利用の山行。強烈なモナカ雪で滑りはズタズタで、今後の課題も多く感じました。

念願のコースの芝倉沢に、よい条件のもとで行けてとてもよかった。残念だったのは、やはり長次郎雪渓に今年もいけなかったことだ。これに向けての急斜面滑走の練習もしていたので残念だ。

今年も、GW明けにどこか2本ぐらい行きたかったが、せっかくの富士山の企画等数本あったが、天候や体調等の問題で行けずにとても残念だ。

また、シーズン開始の時期に雪が早く降らなかったこともあり、あまり前半に今年も行けていないのが残念だ。来シーズンは、比較的ゲレンデ練習と山滑りを両立できるエリア(神楽や栂池など)にパウダーの季節に行けるように計画したいと思う。パウダーの滑りは楽しいけど、まだまだうまくないので、もっと一杯練習したいと思う。東北は今年は1回しか行けなかったが、こちらも、もう少し行けるように計画したい。また、夏山シーズンには、ある程度下見山行的な意味合いを持った山行も組み入れようかとも考えている。

また、もう少しツアー的な要素を持った山行(単に登って降りるだけでなくて、縦走するとか、避難小屋に泊まるとか等)も来シーズンはできるようになるといいと思っている。そうなってくると、できればパーティーでの行動もできるといいなあ〜〜。(これがなかなか体調やスケジュールが合わなくて大変なんだけど)

なんだか、毎年、調子があがってくるとシーズンが終わってしまうけど、来シーズンがよりよくなるようにしたいと今から思っている次第です。
                                             (2004年6月5日記)
  


  第64話  有名人?

ちょっとしたことから、「私のことはインターネットで調べて頂ければ、どんな仕事をしているかわかっていただけると思います」というお手紙を○○○○研究家と名乗る方から頂いた。○○○○研究家とは、こういう言い方もするけど、もっと分かりやすくいうと、よくある職業で、それをちょっとカッコよく、おしゃれに観点を変えた言い方です。

だけど、知らない名前なので、早速ご希望どうり、職場のパソコンで一生懸命調べたが、これが全くヒットしない。(苦笑)

●■▲子さんという名前は、凄く多い苗字ほどではないが、ごく一般的な苗字である。名前の方も、まあまあいる名前である。ところが、普通、インターネットというのは、そういう一般的な名前の場合は、同姓同名の人が一定数いるので、全然関係ない人の名前も、必ずヒットして幾つかは出てくることが多い。試しに自分の名前を有名な検索サイトで検索してみたことのある人は多いと思う。大体は、全然自分とは関係ないけど、どっかの団体に所属した人の名簿の一部とか、クイズにあたった人の中とか、関係ないけど出てくる事が多い。有名人でなくても、大学関係者などの学者の関係に同姓同名の方がいれば、学会の論文などの大学関係の資料はインターネットでの普及が進んでいるので、その関係でヒットしてくることも多い。

本当に1個も全くない、同姓同名というのでもヒットしなくいので、本当に参りました〜〜〜。(内心結構笑えました♪)

ところが、私の仕事の関係の人は、ご自分の仕事に誇りを持っているのは大いに結構だが、たぶん自分のことを実際に検索したことがないようで、やはり、そういう手紙を書くのであれば、実際にやってから書いて欲しかったものです。 

それでもって、しようがないので、正直に「あなたのお名前を色々探したのですが、どうしてもインターネットでは確認できませんでした。よって、どういうお仕事をされているのかをわかる資料を頂きたい」と言ったのでした。

自分のことを有名人だと思っている人って、世間の認識と自分との間とのギャップは、やっぱりよく認識しておきたいものですね。(実は、相当恥ずかしいものですね。。。)
                                    
(2004年6月8日記)


  第65話  相互リンクということ

たまにのぞいているHPの管理人さんが、現在入院中。私は相互リンクは行っていないが、たまに書き込みしたり、向こうも私のHPに書き込みしてくれたことがある。

いつも毎日眺めている掲示板ではないけど、大体前後の書き込みを見れば、管理人さんが体調が悪くて、他の人もかんばれよとか、お大事に・・・・というメッセージが多い。本当に元気になって欲しいなあと思う人の心は皆同じはずである。

それなのに、前後の脈絡をみずに、ひとつぽつんと、自分の相互リンクの変更のお知らせを書いている某サイトがあった。ちょっと、いくらなんでも掲示板に何かを書く場合は、直前の話の流れぐらいは読んでから書き込みすればいいのにな・・・・ もしかして、書いたあとから気が付いても、削除キーを設定していなくて消せなかったのかもしれないけど。

HPでは、リンクに対しての考え方は色々とあるけど、自分の都合で、リンクの変更をお願いする訳なので、あくまでも「お願いベース」の依頼の話だ。自分の都合で相手にお手間をとらせる訳だから、相手への思いやりや気配りは、最低限必要だと思う。(こういうのって、その人の普段の仕事振りや生活ぶりなどがうかがえてしまう気分だ。)

自分はリンクフリーにしていない。見るからにきちんとしていないHPからリンクされたりするのは、勘弁して欲しいと思うからだ。そうは言っても、世の中にはリンクはフリーであるべきだという考え方もあるので、時折許可していないHPからも自分のHPがリンクされているのを見かけるが、ちゃんとした内容のHPならば黙認している。

自分が掲示板などへの書き込みでの表現が、誰かを不快にさせたり、相手の状況をわきまえないものにならないように、気をつけたいと思う今日この頃です。
                                              (2004年6月11日記)